はんにゃの巻

1年以上ぶりの更新です。すいません。

この1年で書きたいと思っていたことはいろいろとあるのだけれども、今はとりあえず、はんにゃだ。気がつけば、はんにゃはもっとも注目しなければならない存在になっていた。

はんにゃ、しずる、フルーツポンチの3組を代表格として、おもに東京吉本の、優秀な若い世代の“お笑い芸人”のあいだになにか新しい感覚が流れているのはどうやら間違いない、という気配は去年ごろにはすでに感じられたのだけれども、3組とも芝居の質感で笑わせるのだが、その質感は非常にもろく、ちょっとズレると類型的に陥るような微妙な部分で、それを特に技術を見せつけるわけでもなく、じつにあっさりとこなしている。それは驚異といえば驚異なのだが、簡単といえば簡単なのだろう。おそらくそこには、その世代には当然の了解事項があるはずで、当然のものとして伝わってしまっているだけに、すでにそこを通過してしまった世代にとっては説明がつきにくい。いや、むしろ、説明がつきにくいことで、通過してしまった世代をシャットアウトする役目があり、ある世代からの支持を濃いものにしている。ある世代からの支持を受けるというのは、いつの時代だってそういうものだ。
はんにゃ、フルーツポンチはオリエンタルラジオと同期だそうだが、オリエンタルラジオがひと足早く世に出たのは、オリエンタルラジオの持っている感覚が、おそらく、旧世代に属するものだからではないか。その芸風を、肯定するにせよ、否定するにせよ、オリエンタルラジオはまだ理解しやすい存在なのだ。はんにゃの代表作に「ズクダンズンブングンゲーム」というものがあるが、オリエンタルラジオ出世作である「武勇伝」と比べてみれば、その言語感覚、身体感覚には、旧世代を断ち切るようなみずみずしさがあるのがわかるだろう。

先日、「爆笑レッドシアター」を観ていたら、その「ズクダンズンブングンゲーム」が独立したコーナーになっていた。はんにゃのふたりが扮装して、ドラマ収録中の俳優のもとをたずねて、この架空のゲームを仕掛けるというものだった。
金田のからだの動きの独創性、もしくは変態性とでもいおうか、そこには全盛期のとんねるずを思わせる部分もあるが、こうして、はんにゃがふたりで扮装してロケをしているすがたを観ると、若かりしころのウッチャンナンチャンと似た雰囲気がある。この番組には内村光良も出ているし、共通するスタッフもいるだろうからロケのやりかたが同じなのかもしれないが、どうも、そのせいだけではないんじゃないか。はんにゃの年齢を調べると、金田と川島には4歳の年齢差がある。金田は1986年生まれで、「爆笑レッドシアター」のほかのメンバーの年齢を調べてみれば、金田はぐんと若いのだ。もし、金田が「仮面ノリダー」や「マモーミモー」を観ていたとすれば、小学校にあがる前という計算になるが、この、ちょっとの年齢差がけっこう大きいのではないかと思う。
この番組のメンバーではもうひとり、柳原可奈子がじつは1986年生まれだ。この世代からいったいどんなものが出てくるか、すでに旧世代の人間としては長期的に注目していきたい。

しずる はんにゃ フルーツポンチ 『スクールデイズ』 (ヨシモトブックス)

しずる はんにゃ フルーツポンチ 『スクールデイズ』 (ヨシモトブックス)